ゆっくり小学校の課題図書6冊の中から私が選んだのは、ゆっくり小学校の校長・辻 信一 先生(文化人類学者、環境活動家、明治学院大学国際学部教授、ナマケモノ倶楽部世話人)の最新刊「よきことはカタツムリのように」(春秋社)。2016年9月20日に発売されたばかりの本です。
非常に驚いたことに、この本には私の故郷・山形県鶴岡市に関するトピックが2つも掲載されていました!!
まず1つめは、鶴岡にある全国的に有名なレストラン「アル・ケッチャーノ」の奥田政行シェフについて。
約10年前、奥田シェフがテレビ番組「情熱大陸」に出演された時からずっと、私は同じ鶴岡人として「アル・ケッチャーノ」を影ながら応援しています。今や日本を代表する有名料理人になられた奥田シェフですが、変わらぬ素朴なお人柄がとても魅力的。庄内弁で「あったんだ」を意味する「アル・ケッチャーノ」という響きも大好きで、私のメールアドレスに使わせていただいているほど。
また、「アル・ケッチャーノ」に野菜を提供している井上農場さんは、私の弟の高校時代の同級生のご実家。2年前、井上農場さんが東京・青山のファーマーズ・マーケットに初出店された時にたまたま通りがかった私は、そこで「アル・ケッチャーノ」についてのお話をして盛り上がりました。そんなこともあり、なかなか帰省する機会がないのですが、「アル・ケッチャーノ」には一方的に親近感を感じています。
そんな「アル・ケッチャーノ」の奥田シェフを主人公にしたドキュメンタリー映画があることをこの本で初めて知りました。全国各地で上映され、“グローバルからローカル”へという道筋を志向する人々に感動と励ましを与えてきたという映画『よみがえりのレシピ』。ぜひ観てみたいです。
なお余談ですが、私がゆっくり小学校に通い出してから、奥田シェフのイベントにお誘いいただいたり、偶然いただいたチラシに奥田シェフのセミナーが告知されていたり、シンクロニシティが続いています。
しかし、まだそのメッセージの意味が分からず、、、気になっています。。。
2つめは、辻先生が羽黒山で “山伏修行” (7日間の山籠り)をされた体験談について。
今週末(11月26~27日)に開催されるゆっくり小学校の自然合宿「ゆっくり巡礼 秩父2016」の裏テーマ・ゆるやかな “山伏修行” が、故郷の羽黒山とつながっているなんて!!
「山伏とは何か。それは、つなぐ役目を担う人のこと。神や仏と人とを、山や森や川や生きものたちと人をつなぐ役。食と人とを、人と人とを、地域と人とをつなぐ役だ。」
「星野によれば、山伏の『山』とは女性の身体、より正確には胎内である。修行とは、そこに入 って、そしてそこから出てくること。つまり、一度胎内に戻って、再び命をいただいて生まれ出る。」
「山からいただいた命は、大事に育てていかなければならない。命をつなげるには、水が、空気 が、そして食が必要だが、それらはみな、山にある。山伏は山に入り、それら命の源泉のひとつか らひとつへと移動し、歩きながらそれらをつないでいく」
秩父合宿の前に「山伏とは何か」、「修行とは何か」を知ることができて良かったです。心構えができました。
また、この本のおかげで故郷に想いを馳せることとなり、「私にとっての『本当の豊かさ』、『スローライフ』の原点は、18歳まで生まれ育った鶴岡にある。」ということに気づかされました。風向明媚な景色とともに、自然の中で動き回っていた幼少期の思い出が蘇ってきます。
「人は大地に生まれ、大地に還っていく。金もうけや出世にあくせくせず、山や川、草木に抱か れて、小動物や虫たちとも一緒に暮らし、土地に還るのもいい…。」
「勝ちも負けもない世界、それが自然界だ。」
私は大学入学を機に上京し、“する”から“する”へと動き回り、心身をすり減らしてきたけれど、両親は相変わらず鶴岡で豊かな自然に囲まれて生活しています。子育てを終え、商売も辞めた今は、野菜を育てたり、庭の草木を愛でたりしながら、「今・ここ」を生きています。
あれこそが『スローライフ』なのですね!!!
次回帰省した時には、目に映るモノすべてがこれまでとは違って見えるんだろうな~。
また、鶴岡のために社会貢献したい、何かお役に立ちたい、という思いがますます強くなりました。
私にできることはなんだろう??
ゆっくり小学校を卒業するまで、それが何なのか気づくことができますように。
以下、覚え書きですφ(.. ) 。
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▼ 帯(おもて)
3・11後のスローライフ。今こそ本気で、世界と自分に歯止めをかけよう。
持続可能な食とエネルギーの最前線から、民主主義のあり方まで。
本当の豊かさが、ここにある。
▼ 帯(うら)
「よきことはゆっくりと」というガンディーの言葉が正しければ、ぼくたちにはもう「よきこと」が見えなくなっているのではないか。
この危機から抜け出すためには、ゆっくりと進行するよきことに目をとめ、向き合うことだろう。そのためには、まず、ぼく自身、あなた自身が立ち止まり、スローダウンしなければならない。
東日本大震災以降、日本で、いや世界中で危機は深まっている。世界の片隅で静かに、ゆっくりと正起している「よきこと」や「よきもの」たちに、しっかりと目を向けたいと思った。
本書は、そんなぼくのスローな旅の記録であり、今再びの「スローライフ論」である。(本文より)
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▼ 印象に残ったセンテンス
(P11)
ストップ&スローダウン。まず、立ち止まる。すると、“よきこと”が見えてくる。そこで、また動き出す。ゆっくりとマインドフルに。そのとき、ぼくたちはよりよい人生を生き、よりよい社会のために働くパワーに満たされているだろう。
本書のタイトル「よきことはカタツムリのように」は、マハトマ・ガンディーの言葉から来ている。彼はこう言った。
Good Travels at a snail’s pace. (よきことはカタツムリのように、ゆっくりと歩む)
(P78)
忙しそうに“する”から“する”へと動き回って、心身をすり減らしているぼくたち人間に比べて、一見ただそこに“いる”だけで必要なことを粛々とすべて見事に成し遂げている植物たちのパワーはどうだ!?
(P121)
究極のスローフードムーブメント 山形県
(P122)
シェフの名前は奥田政行。今では日本全国、いや世界のあちこちで人気の料理人だ。奥田は二〇〇〇年、鶴岡にレストラン「アル・ケッチャーノ」を開店。その客となった江頭はちょうど在来作物の研究にとりかかっていた。ある時、江頭に奥田が言う。シェフの務めとは、地元の食材の良さを多くの人に知ってもらい、地元の農家を支え、応援することだ、と。庄内弁で「あったんだ」を意味する「アル・ケッチャーノ」という店名には、「自分の足元にこんなおいしいものがあったんだ」という奥田の想いが込められていた。江頭はこの想いに共感、間もなく在来作物の復活に向けた二人三脚が始まる。
(P149)
人は大地に生まれ、大地に還っていく。金もうけや出世にあくせくせず、山や川、草木に抱かれて、小動物や虫たちとも一緒に暮らし、土地に還るのもいい…。
(P154)
勝ちも負けもない世界、それが自然界だ。
(P174)
山伏にアウトドアの原点を見た 山形県
(P174)
「山伏とは何か。それは、つなぐ役目を担う人のこと。神や仏と人とを、山や森や川や生きものたちと人をつなぐ役。食と人とを、人と人とを、地域と人とをつなぐ役だ。」
(P175)
星野によれば、山伏の『山』とは女性の身体、より正確には胎内である。修行とは、そこに入 って、そしてそこから出てくること。つまり、一度胎内に戻って、再び命をいただいて生まれ出る。
(P183)
『スモール・イズ・ビューティフル』で知られるE・F・シューマッハー(1911ー1977)によれば、仕事の主な役割は次の三つだ。
(1) 人間にその能力を発揮・向上させる場を与えること
(2) 他の人たちと一緒に仕事することを通じて自己中心的な態度を棄てさせること
(3) まっとうな生活に必要な財とサービスをつくり出すこと
(P237)
「マインドフル」に生きるとは、未来へと向かって慌ただしく走るような生き方の代わりに、「今・ここ」を十全に生きる生き方を選ぶことです。ぼくなりの言い方をすれば、“スロー・イズ・マインドフル”となります。
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《 目次 》
序 立ち止まる、そしてまたゆっくりと動き出す
1 「スモール」という価値
「スロー」という価値
2 「愛」という価値
「民主主義」という価値
3 「アウトドア」という価値
「ローカル」という価値
あとがき
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(ご参考)
⚫︎ ゆっくり小学校とは?(公式サイトより引用)